コラム

病院における事業再生とは

病院における事業再生とは

医療機関の経営が悪化する原因には、いくつかのことが考えられますが、経営が悪化すると、次第に資金繰りが苦しくなります。
資金繰りが苦しくなるのは、収入に比較し費用が多いことにあります。逆に、費用に比較し収入が少ないと言い換えてもよいでしょう。このような状況を改善するためには、収入を増やすか、経費を圧縮するか、そのいずれも実施するということになります。

一般の営利企業の場合には、収入を増やすために、営業を強化したり、広告を増やしたりしますし、経費を圧縮するために人員を削減したりします。医療機関の場合には、一般の営利企業のように自由に増収策を講じたり、リストラをしたりすることが難しいところが問題なのです。収入の大部分を占める診療報酬については、国民皆保険制度の下、診療の種類によって報酬の額が決められています。

したがって、需要を喚起するために値下げすることもできませんし、利益を厚くするために値上げすることもできません。その上、医療機関の場合には、施設ごとに必要な配置人員が定められていることが多いので、思うように人件費の圧縮はできません
そもそも、医師や看護師などの医療従事者は、恒常的に不足気味で、施設基準を満たすための人員を確保するためには、ある程度の給与水準であることが求められます。要するに、経営の自由度が少ないのです。

その代わり、一般の営利企業に比較し、収入が安定しています。人間が病気になるのに、景気の変動はあまり関係がありません。好景気の場合でも不景気の場合でも、人口の一定割合の病人が発生します。

病院の場合には、病床規制があり、医療圏のなかでの病院の乱立が抑制されていますので、だまっていてもある程度の患者が集まるようになっています。
それと、一般の営利企業に比較した場合、売掛金の回収リスクが格段に少ないのです。
医療機関の収入では窓口収入よりも保険収入が占める割合が大きいのですが、窓口収入も遅滞する人は少ないですし、保険収入については遅滞するようなことは考えられません。
要するに、医療機関の場合には基本的には、当たり前のことを当たり前にやってさえいれば、経営が成り立つような仕組みになっているのです。 

それでは、どのような場合に、経営が悪化するのでしょうか。
まず、過剰な設備投資が原因であることが考えられます。次に放漫経営が原因であることが考えられます。
過剰の設備投資や放漫経営によって、経営の規模に比較し、借金が多いことで資金繰りが厳しくなっていることが多いのです。借金がそれほど大きくないのに、資金繰りが厳しいというのであれば、医療機関の規模に比較し、患者数が少ないことを意味します。その場合には、経営を改善するために患者を増やす工夫をしなければならないのですが、その医療機関が医療圏の需要に対応できていない可能性もあります。
その場合には、急性期の病院からリハビリ病院へ変更するとか診療科目の見直しや施設の増改築など、需要への対応のために大幅な経営改善策が必要となります。それには資金も時間も必要となります。その場合に自力で改善できればよいのですが、M&Aが必要な場合も多いと思います。

当事務所の弁護士は医療機関の事業承継の経験が豊富にございます。
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病院における事業再生

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