事業再生ADRによる方法
事業再生ADRは、産業競争力強化法・裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に基づく手続であり、その対象は、私的に事業再生を行おうとする企業で、窓口となるのは、一般社団法人事業再生実務家協会という事業再生の専門家が設立した機関に事実上限定されています。
準則型私的整理手続(⇒債権者・債務者の二者間に加え、中立な第三者の関与を前提とする私的整理手続のことです)である事業再生ADRを利用するメリットは、①民事再生や会社更生等の法的整理のように外部に公表されないこと、②柔軟かつ迅速な処理が期待できること、③原則として金融機関以外の取引先を巻き込まずに済み、通常取引が継続できること、④他方で、中立的な立場の機関が関与することにより手続が安定し、金融機関の信用も得やすいこと、等が挙げられます。
事業再生ADR手続の利用に当たり、業種や事業規模による制限はありませんので、医療法人も利用が可能です。
企業が、事業再生実務家協会に事業再生ADR制度の利用を申請し、受理されると、実務家協会と企業との連名で債権者に「一時停止の通知」を発し、債権回収を行わないよう、また破産等の申立を行わないよう要請することとなります。
事業再生ADR手続では、事業再生をしようとしている企業自体が再生計画を策定する必要がありますが、
実務家協会の専門家が、企業が策定した再生計画を審査・指導するという方法で再生計画を策定しお墨付きを与えるような形となりますので、
費用はかかりますが、債権者の合意が得やすい合理的な再生計画の策定が期待できます。
この他にも、事業再生ADR手続によって受けることができる様々な支援措置が法律に定められています。
再生計画の策定に際しては、一定の要件を充たす必要がありますので、企業を支援する弁護士等の専門家が必要です。詳細な手続や事業再生ADR手続の利用の適否については、弁護士にお問い合わせください。
【文責 武藤】