お知らせ

看護師による施術について(HIFU等)

昨今、看護師による施術が医師法違反であるとして、看護師や医師が逮捕されるケースがあります。看護師等コ・メディカルが何までできるのか、またどこからが違法となるのかについては、正確に整理しておく必要があります。

1 医業について

医師でなければ、医業をなしてならない(医師法17条)とされています。看護師は、療養上の世話又は診療の補助を行うことはできますが(保健師助産師看護師法5条)、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないとされています(同法37条)。
医師法17条にいう「医業」とは何かが問題となります。この点について、厚生労働省の通達「医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について」(令和6年6月7日付け医政医発0607第1号厚生労働省医政局医事課長通知)において、「HIFU施術…が原因となって急性白内障や神経麻痺等の身体に被害を受けたという事例が相当数ある旨が報告されている」としたうえで、「HIFUを人体に照射し、細胞に熱凝固(熱傷、急性白内障、神経障害等の合併症のみならず、HIFU施術が目的とする顔・体の引き締めやシワ改善等も含む。)を起こさせ得る行為…は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反する」との解釈を示しています。
ここでは、看護師が、HIFUを人体に照射すること自体を禁止しているのではなく、主治の医師による指示に基づかない施術は、上記の法令の建付けに照らして違法であるとの解釈であると解されます。

2 求められる対応について

上記の法令に違反しないためには、HIFU施術にしろ、人体に危害を及ぼすおそれのある医療行為については、医師が行うべきものであることを確認する必要があります。
そのうえで、施術を看護師に実施させる場合には、主治の医師から具体的な指示を行うことが必要です。ここでいう指示の内容については、「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」(平成19年12月28日付け医政発1228001厚生労働省医政局長通知)や「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」(令和3年9月30日付け医政発0930第16号厚生労働省医政局長)等の記載が参考となります。

 

ご自身の診療所・病院において、行っている種々の施術が、医師法等の違反していないかどうか、最新の通達やガイドラインに基づいてチェックする必要があります。弊所におきましては、日々の医療行為についての法的なアドバイスも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

<文責 大江>